卸売市場の課題


見えてきた市場法抜本見直しの方向

市場法の抜本的見直しの内容が明らかになりつつあります。

6月〜8月にかけて各地でヒアリング(業界との意見交流)が行われており、現在、井上食品流通局長や宮浦流通課長、武田市場室長など農水省の幹部が精力的に全国を回っています。

当初は見直しの内容はほぼ固まっていて、ヒアリングは形つくりだという声もあったのですが(その声の中に私も入っていましたが)、どうやら真面目な意見交換の場が行われているようです。その証の一つが、青果や水産の全国団体ヒアリングが業界紙等の取材陣を閉め出し非公開で行われていることです。業界の本音を聞き、それに踏み込んで答えるためには余計な第三者は入らない方がいいと、私も思います。

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卸売市場法の抜本見直し①

市場法の抜本的見直しの内容が明らかになりつつあります。

6月〜8月にかけて各地でヒアリング(業界との意見交流)を行う予定に沿って現在、井上食品流通局長や宮浦流通課長、武田市場室長など農水省の幹部が精力的に全国を回っています。

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市場開放の考え方 その4

市場開放を成功させるための注意

昔は、多くの卸売市場の正門に「卸売市場なので小売はしません」の看板がありましたが、現在は卸売市場における一般開放は、文字通り一般的に行われています。

 

しかし、法的には「卸売りをする場」であることは変わっていませんので、一般開放の方法は市場によってかなり違います。

 

新潟中央市場や福岡市場など最初から一般開放の場として施設を建設するケースも増えていますが、ここでは公設市場内の関連、仲卸が定期的な一般開放を行う場合の注意事項を書いておきます。

 

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市場開放の考え方 その1 消費者の支持がなければ卸売市場は存続できない

「市場まつり」の考え方

近年、公設市場でも市場まつりを行うことが普通になってきた。

この「市場まつり」は何のために行われるのか。第7次卸売市場整備基本方針でも第6次に引き続き「市民のための卸売市場の役割を重視し、例えば食のイベントの開催等、施設の開かれた利用にも配慮すること」を書かれてあるが、「開かれた市場」とは何か、実際には分かりにくい。

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築地の亀裂決定的に  罪深い小島私案

卸売市場法の「抜本的見直し」によって卸売市場の社会的存在意義そのものが問われている時に、市場流通の基幹市場としての歴史的役割を果たしてきた東京築地市場の行方が一層不透明となり、築地市場業界の亀裂が決定的となる最悪の事態となりつつある。その直接のきっかけが市場PT座長の小島私案による築地改修案である。

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市場法見直しの先取り 丸中HD

市場法見直しの先取りともいえる取組が全国で出ています。

一つは市場卸の単数化で青果では八戸、広島、名古屋北部の各中央市場で統合単数化となり、長野県連合青果と長印による「R&Cホールディングス」やグループ企業を機能別に業態分けした横浜丸中青果ホールディングスが生まれています。水産でも卸の単数化の他、大阪魚市場が市場卸としては最も早くグループ会社をまとめ、平成18年に各地にあった大阪魚市場のグループ卸の荷受け業務を一本化した「OUGホールディングス」を設立しています。

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卸売市場会計の独立採算②

市場会計は資本的収支と収益的収支に分かれていて、独立採算の考え方の基本は、使用料収入を中心にした収益的収支の部分です。もちろん管理支出には、許可や届け出など行政の専権事項もありますので、全てが使用料を原資とするのではなく、上限30%までを一般会計から繰り入れることが認められています。(総務省一般会計繰り入れ基準)。

使用料の前に、公営企業会計の対象となる地方公営企業について簡単に振り返ります。

明治22年の市制町村制が発足していらい、明治25年の横浜市営ガス事業、東京市の路面電車(明治44年)、高知県営電気事業(明治42年)など、相次いで地方公営企業事業が取り組まれています。

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卸売市場会計の独立採算①

 豊洲市場の使用料をめぐって損失補償、開場延期中の施設管理費用を誰が負担するのかの論議が続いています。初めに、市場会計は業者使用料を中心とした独立採算が原則であるという考え方について検証します。

 市場会計の立採算の法的根拠が地方自治法に基づく公営企業会計法です。損失補償をめぐる東京都の説明でも述べられていますが、ここでは平成13年に出された「東京都中央卸売市場使用料検討委員会」報告書が、市場使用料に関する基本的な考え方が以下のように分かりやすく述べられています。

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取引の透明化めざす「アグリーチ」開始農水産物流通のSCMで付加価値創出

1.アグリーチとは? 

 平成28年度農水省「見える化事業」によるシステム『アグリーチ(Agricultural & Aquatic Products農水産物+ reach広がる)』が4月1日からネット上で公開された。

 アグリーチは昨年来の規制改革会議や農業競争力強化プランで指摘されていた流通効率化の一環として農水産物の取引を透明化する(見える化)するために、農業生産法人等の生産者と卸売市場、それにバイヤーをつなぐためのサプライチェーンマネジメント(SCM)を確立することでバリュー化、付加価値をつけて生産者所得の向上をめざすシステム。

支援法との関わりもあり、当面は農産物流通の効率化が中心だが、水産物、花きも含めたシステムとして活用することが予定されている。

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市場流通新時代 −施設整備への影響−

「市場法の抜本的な見直し」に迫られた市場流通はどのように変わるのだろうか。現在、6月までの通常国会に農業競争力強化支援法案が上程され、卸売市場法は今後一年間をかけて論議されることになっている。しかし農業競争力強化プログラムで「卸売市場法を抜本的に見直し、合理的理由のなくなっている規制は廃止」と指摘され、規制の対象として名指しされた卸の第三者販売と仲卸の直荷、商物分離の規制緩和は、今までの例外規定による規制緩和とは違う「抜本的な見直し」が進むことは確実であり、また、これ以外にも誰もが想定しなかったような見直しが行われる可能性も否定できず、これまでの市場流通は根幹からの変化に直面することになるだろう。以下、いくつかの問題について市場流通がどのように変化するか検証する。まず多くの卸売市場が直面している施設整備への影響をみる。

 

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