市場開放の考え方 その3「関連事業者」

関連事業者の重要性が増している。

関連事業者の役割は「付属業者」というかつての名称が示すように、市場買出人の利便のために設置された業種であり「付属業者」というのは必ずしも蔑称ではない。「関連事業者」に変えたのは果たす機能が違ってきたからである。「仲買」という言葉も「卸売り側」ではなく「小売り側」に近いという受け止めで蔑称ではないかという意見もあったが、市場卸としての仲卸機能を表現するのは「仲買」よりも「仲卸」の方が正確だろうと思う。

もっとも、近年は「仲卸」機能よりも「仲買」機能、つまり仕入れ代行機能の方が仲卸の今後のあり方・役割を考えるとふさわしいとも思うのだが、いずれにしても大きな問題ではない。

 ワンストップショッピング機能を備える上で、関連事業者の役割が飛躍的に重要になってきた。業種の面でもまだまだ決定的に足りない。現状は、中央卸売市場でも、民営市場よりもはるかに関連業者が少ない市場が多い。中央卸売市場の関連からは、業種の拡大要請が繰り返し出されているが当然だろう。

 

「市場の顔」にふさわしい魅力を

関連事業者の中でも飲食店は、本来、買出人への食事や憩いの場を提供する役割だったが、今は「市場の顔」という新たな機能が加わった。

消費者が卸売市場に持つイメージを一番具体的に表すのが飲食である。消費者だけではなく、マスコミもグルメ番組の人気は衰えていないらしく、今でも盛んに放映されているし、放映されれば、確実に客は増える。特に築地市場の飲食は恵まれていて、マスコミの放映を宣伝費として換算すればいくらになるのか見当もつかないほどの巨額であることは間違いない。人気の店は長い行列ができ、市場関係者が不自由になる状況が築地だけでなくいくつもの市場で出ている。

 

市場の中で営業しているからといってうまいとは限らない。しかし、卸 売市場にあることが美味しさの味付けになっていることは間違いない。卸売市場に対する信頼といってもいいし、錯覚だといってもいい。消費者もマスコミも市場だからうまい筈だという錯覚をもっている。この錯覚をしているうちに中身を充実させないと、ばれてしまうのではないか。もちろん中には努力して本当に美味しく安い店も多い。

 

築地だけでなく、横浜本場の寿司屋さんは朝から夜まで二部営業をしていて、夜、市場全体が真っ暗でも車で寿司を食べにいこうという客が沢山いるし、大坂の民営市場「木津市場」でも行列ができる美味いウドン屋がある。それだけ努力している。こうした店が多くなれば卸売市場のアッピールも説得力が出てくる。そうすることが関連事業者の責任なのではないか。

 

市場の客が減ったから外の客も入れるのではなくて、外も内も客は客。全ての客に市場の味を提供することが仕事なのだから、電車の中に宣伝してもいいし、各店でポイントカードなどのサービスをやるのもいい。卸売市場というパッケージに包んだ営業展開を考えていくべきではないか。それが開かれた市場つくりに向けた関連事業者の役割である。