市場開放の考え方 その2「消費者入場お断り」に法的根拠は無い

市場開放の考え方 その2「消費者入場お断り」に法的根拠は無い

仲卸は消費者に売ってはならないか

消費者は卸売市場に入ってはいけないのか、仲卸から買うのは違法なのか。

今でも多くの卸売市場の入り口に「消費者は入場できません」という看板があるが、この法的な根拠は何だろうか。

法第2条は第2項で「卸売市場とは」として次のような条件をあげている。

イ卸売のために開設されること。

ロ取引き、荷捌きに必要な卸売場や駐車場があること。単なる倉庫や空き地、広場だけでは市場とはならない。

ハ多数の出荷者と多数の買い手が商行為を行う場であること。限られた特約関係にある人たちだけに販売する場は市場とはならない。「物流センター」と「卸売市場」との違いである。

ニ継続して開場されること。「土曜市」や「日曜市」など限られた期間だけ開場するのは市場にはならない。

 

卸売市場だから消費者は入れないという「誤解」が生じたのはイの「卸売のために開設されること」という言葉があったからだろうと思われるが、実はこの言葉は「卸売業者」の販売を規制するものであって、仲卸や、まして関連の販売先を規制するものではまったくない。

 

農水省市場課編集の「卸売市場法解説」でもこの第2条の「卸売の場」とは「卸売が主体だということで、一部で小売が行われることまで禁止するものではない。卸売市場における小売行為は商業調整の問題である」と述べている。

 

「商業調整」とは小売業界と市場業界が分担し合えば、どちらでもいいという立場である。だから、主要な顧客である鮮魚専門店の邪魔になるからウチの市場では小売はやりませんということも、もちろんこれはこれで商業調整として自由である。

 

市場は卸、仲卸や小売のために存在しているのではない

市場は何のためにあるのか、卸売市場の目的は国民にどうスムーズに食料品を流通させるかが課題である。これまで長く、国民への窓口は小売商がほとんどを占めていて、だから市場は鮮魚小売商と一体となって国民への安定供給という役割を果たしてきたのである。卸売市場はだから鮮魚小売商のためにあるという錯覚まで生まれたのである。

 

しかし、今は、国民に食料品が流れるルートは一つではなくなった。小売商は今でも大きな柱だが、量販店も同じように国民への供給という役割を果たしている。外食もそうである。こうして、卸売市場と消費者を結ぶルートが多様化してきているのに、卸売市場の側が変わっていない。それが今の卸売市場の低迷を招いている原因ではないか。