市場開放の考え方 その1 消費者の支持がなければ卸売市場は存続できない

「市場まつり」の考え方

近年、公設市場でも市場まつりを行うことが普通になってきた。

この「市場まつり」は何のために行われるのか。第7次卸売市場整備基本方針でも第6次に引き続き「市民のための卸売市場の役割を重視し、例えば食のイベントの開催等、施設の開かれた利用にも配慮すること」を書かれてあるが、「開かれた市場」とは何か、実際には分かりにくい。

各地の市場で「市場まつり」が開かれているのも付近住民に早朝から騒音などで迷惑をかけているその「お礼」の意味を含めたイベントでもあるし、あるいは市民が卸売市場の存在そのものを知らないということからまず、市場活性化の第一歩として市民に市場のことを知ってもらおうという目的で行う場合もある。

 

結局、市場まつりは何のためにやるのか。 1年に1回の市場まつりをやって消費者が喜んでくれて、成功だった。だからどうしたのだ。それで市場の活性化にどうつながるのか、そこが問題である。市場まつりの成功、不成功は、その後に市場側がどのような販売促進その方向の一環として市場まつりを位置つけていくことが必要なのである。

 

市場まつりは市民サービスではなく市場業界としての義務である。

一番間違いやすい誤りが、少しでも商品を売って販売促進に役立てようという考え方である。最初から卸売市場の方向として「卸・小売」を目指すのであれば問題は無い。ただし、その方向はかなり困難で、卸売業者の立場で小売を成功させた例は生鮮食料品の場合は少ない。なぜなら売る感覚が違うからで、仲卸が小売に進出して失敗した例は多く、逆に小売が仲卸に進出して成功した例は多いということも、こうしたことを立証している。

 

市場まつりと「特売」を混同してはいけない。その日に「売る」ことではなく後につなげることを考える。買い物の楽しさ、遊べる楽しさを通して市場を理解してもらうことを目的とすべきである。またそれは市民サービスということでもない。結果として市民サービスになるのである。

 

地域の中で、公設の場合は税金を投入して、あるいは民営の場合も社会資本として位置付けられている「卸売市場」業者として、消費者に卸売市場の存在そのものを支持してもらわなければ卸売市場が社会的に存在することを許されるわけは無い。そうした意味で市場まつりは市民サービスではなく卸売市場業者としての義務である。卸売市場が小売をしていいのかという問題とは又別の問題であり、消費者を卸売市場から排除していては卸売市場そのものの未来は無い。