市場法見直しの先取り 丸中HD

市場法見直しの先取りともいえる取組が全国で出ています。

一つは市場卸の単数化で青果では八戸、広島、名古屋北部の各中央市場で統合単数化となり、長野県連合青果と長印による「R&Cホールディングス」やグループ企業を機能別に業態分けした横浜丸中青果ホールディングスが生まれています。水産でも卸の単数化の他、大阪魚市場が市場卸としては最も早くグループ会社をまとめ、平成18年に各地にあった大阪魚市場のグループ卸の荷受け業務を一本化した「OUGホールディングス」を設立しています。

 また、昨年は低迷していた長野県水をマルイチ産商が吸収合併しましたが、これは市場間競争の結果としての合併ではなく市場機能の強化によって川上から川下までをつなぐサプライチェーンマネジメント((SCM)構築を目的とした統合であり、従来の単数化にはなかったケースです。

 

 青果では、昨年4月にスタートした横浜丸中HDが注目されています。市場単位ではなく業態別に再編、中核の横浜丸中青果は本場、南部、藤沢に展開していましたが、これを横浜丸中青果の集荷・産地開発をメインとした卸売業務に特化、他に小売・外食等への販売と加工・パッケージを担う横浜市場センター、物流機能を担う横浜ロジスティクスの3社に再編し、その三社の管理部門社員を全員丸中HDに転籍させることで管理部門の効率化と独自機能の発揮による有機的な結合をめざしています。

 

 今後の市場卸の機能として集荷機能を強化するとともに得意先に販売し加工・パッケージ機能を備え、物流機能を整備する三つの機能を独自に追求するシステムであり、このHD方式は、従来の卸売市場では実現していなかった新しい卸のあり方を模索する取り組みです。

 

 こうした取り組みが実現したのは、横浜丸中青果の社長を退き丸中HDの代表として3社をフラットに見る立場となった原田篤社長の手腕だけではなく、本場と南部市場の統合再編で廃止される予定だった南部市場が「市場としては廃場するが本場の物流機能を補完する場」となったこと、また藤沢市場が行政の強い要請で横浜丸中青果の責任で民営化に移行することになったこと等の予期しない流れを引き寄せた結果です。

 市場法の抜本的な見直しは今後一年かけて行われますが、その規制緩和の方向性はすでに示されています。市場業界も対応を急がざるを得ません。丸中HDのケースは今後の他市場への先進事例として参考になると思います。