名青が名古屋西流通センターに大型配送施設「農産セットセンター」

名古屋市中央卸売市場の青果部卸「名青名古屋青果」(吉田 真太郎社長、年商446億円)は愛知県津島市にある第3セクター地方市場「名古屋西流通センター」(名古屋西)敷地内に敷地面積約1万4千㎡の大型配送施設「農産セットセンター」を竣工、稼動した。管理はグループ企業「株式会社 エムティ」(城山豊 社長、年商60億円)が行う。

1.農産セットセンターの概要

・敷地面積14,345㎡で建物面積は2階建て11,912㎡(1階7,956㎡、2階3,956㎡)

・冷凍・冷蔵設備は計61台。

・大型段ボールプレス機、LED照明1,350台、カウンターフォークリフト2台、リーチフォークリフト5台、施設はエレベーター2機、シッパー減容機。

・取扱規模は年間1万㌧。

2.農産セットセンターの特徴

 センターへの搬入は夜。名古屋本場や産地から搬入された農産物はそのまま温度管理施設に保管、その日のうちに検品、加工、出荷され基本的に在庫は持たない。

 また温度管理に加えて、一部のホウレンソウ、大根、人参、キュウリを中心に、梱包材にP-プラス®(鮮度保持フィルム)を使用している。店舗用の青果物については、この段階でコンテナに乗せ配送される。検品・加工された青果物は、フロントピッキングラインを備えた集品設備で保冷用の発泡スチロールの箱(通箱)に納められ配送される。

3.名古屋西流通センター                               名古屋西流通センターは昭和55年に津島市を中心に3市2町の出資による第3セクターの青果市場として昭和55年に開設、敷地面積:48,382㎡。卸は名古屋西青果(株)(佐藤登社長)で年商35億円。 

4.名青と地方市場のコラボと生き残り

 名古屋西青果と名青は資本等の結びつきはなく、名青は加工、配送機能を中心に集散機能を整備しており、旧配送センターが老朽化し手狭となっており、また名古屋西流通センターは開設35年を経過し施設整備を集約し新たな企業誘致を計画していたことで両社の方針が合致し建設が決まった。その結果、開設者は事務棟隣にあった旧関連売場15,000㎡の施設正門前の国道沿いに移転し約6,000㎡に縮小し整備した。

 今回、名青の「農産セットセンター」が稼動したことで、名古屋西流通センターは名古屋西青果を核とする卸売市場、地域開放機能を果たす関連棟、そして「エム・ティ」が運営する加工配送センターが市場経営の三本柱となる。開設者である名古屋西流通センターの橋本久男専務は「流通センターは国道に面していますし名古屋市の近郊都市として人口も増えています。そうした地域に対応出来る卸売市場として機能を拡充していきたいと計画しています。農産セットセンターに協力することで、当市場の卸である名古屋西青果の売上拡大にも貢献していけると期待しています。名古屋西青果と関連棟と合わせて新たな地域の拠点市場としての役割を果たしていきたいと思っています」と新たな一歩を踏み出した決意を述べている。

 また名青も1千万都市名古屋の大消費地圏をバックに、東海、北陸への生鮮流通の拠点を目指しており、「農産セットセンター」は広域集散機能を広げる拠点となるだろう。名古屋は本場、北部の二つの大型中央市場が開設されているが、北部が名果と丸市の統合で青果部、水産部とも単一卸となり、事業展開のスピード化と効率化に取り組んでいる。

 一方、古い歴史を持つ本場は青果2社、水産3社体制で東海地区の拠点機能を果たしており、施設もスクラップ&ビルドによる全面再整備を終えている。卸は名青と丸協が独自路線を展開する対照的な経営戦略をとっており、当面は青果、水産共に統合再編は検討されていない。それだけに、名青と丸協の独自戦略、本場と北部それぞれの経営戦略の違いが今後どのような効果を発揮していくか、卸売市場法の抜本的な見直しの方向と共に注目される。